安野光雅さんの絵本「美しい数学」シリーズを知っていますか?
↓の「はじめてであう すうがくの絵本」の方は有名だと思うんですが、
「美しい数学」シリーズもこれまた面白いのです。
絵が素敵なのはもちろん、内容も素敵。
子どもは純粋にすごーい!と楽しめるし、きっと理系の大人ならついつい考えてしまうような内容です。
安野光雅さんとは?
2020年に亡くなられた画家・絵本作家の方です。
wikipediaより
美術のみならず、科学・数学・文学などにも造詣が深く、豊かな知識と想像力を駆使して独創性あふれる作品を発表した。原色や派手な色をほとんど使わない淡い色調の水彩画で、細部まで書き込まれながらも落ち着いた雰囲気の絵を描く
レイトン教授や謎解きが好きな娘とたくさん読んだ安野光雅さんの絵本。
いつか島根にある安野光雅美術館へも行ってみたいなぁと思っています。
「美しい数学」シリーズとは?
セットで販売されるわけではないのですが、
- 10人のゆかいなひっこし
- すうがく博物誌
- 壺の中
- 赤いぼうし
- 3びきのこぶた →※あの童話ではない
- ふしぎなたね
の6冊の絵本が「美しい数学」シリーズと呼ばれています。
すべて安野光雅さんが絵をかいていますが、内容については数学者の森毅先生が書いた本もありますし、安野光雅さんが書いているものもあります。
では、それぞれの絵本を紹介していきましょう!
10人のゆかいなひっこし
絵本を開くと、左ページに家があって、こどもが10人います。
右ページには別の家の外面があって、こどもたちは左の家から右の家にひっこしていきます。
ページをめくれば、引っ越し先の家のなか。なんにんひっこししたのかな?家の外面の絵の窓は、実際5つが開いていて(穴あきです)、こどもたちがのぞいたりかくれたり。
さて、ここにぜんぶでなんにんいるのかな?と、いくつもの引き算と足し算をすることができます。大人は「何だろう、これ?」ととまどいますが、こどもには、これが足し算と引き算の本だと、すぐわかります。
海外7ヶ国でも出版され、日本国内とあわせて100万冊が、世界の子どもたちに読まれているロングセラーです。
10まで数えられるようになったら、足し算、引き算の入り口におすすめです。
すうがく博物誌
数学の本は人気がない。でもこれはとっつきやすく美しく、楽しく、ズッコケているようで鋭い観察に溢れている数学の本である。森さんと安野さん、二人の「数学者」の作った、事典風オール挿絵入り数学読みもの。
数学の用語解説辞典のような本。森毅さん著。挿絵と文字だけで、絵本ではないので、ちょっと小さい子には難しいかも。
壺の中
表紙の美しい壺がこの絵本の主人公。
「これから おはなし するのは その つぼの なかの おはなしです」
と始まり、壺のふたが下に置かれます。
次をめくると、「つぼの なかには みずが はいって おりました」。
すなわち、壷の水は海なのです。???ここから「どんどんふえる」数学でいう階乗のお話が始まります。
「海には、1つの島がありました」
「島には、2つの国がありました」
「2つの国には それぞれに3つの山がありました」そして、3つの山にはそれぞれ4つの城があり、4つの城にはそれぞれ5つの町があり、
(中略)、9つの箱には各々10個の壺がありました。
さあいま、壺の数は、全部でいくつになるでしょう!!!
ともかくすごいことになるので、このリアルなおもしろさはぜひ絵本で体験してみてください。
むずかしいこと抜きとしても、絵の美しさにため息がでます。安野さんの子息、 安野雅一郎さんのアイディアで生まれた数学絵本です。
絵が美しくて、童話の世界を旅しているような不思議な気持ちになります。
赤いぼうし
この絵本はベストセラー『詭弁論理学』の著者、野崎昭弘さんが案を創りました。
絵本のうしろに、長いけれど親切な解説があるので、読者はまずここから読み始めるのがよいでしょう。「もし・・・だったら」という考え方は、とても大切です。この考え方のおかげで、数学が今のように発達したのだ、と言ってもいいくらいです。
この本のねらいは、この「もし・・・」という考え方の紹介です。
レイトン教授風の怪しい男性が登場。想像することが大切!
3びきのこぶた
数学者の森毅さんが考えて文を書き、それを安野さんが絵本にしました。
テーマは「順列と組合わせ」です。
森さんにかかると、あらゆる現象が絵本のタネになります。「おおかみのソクラテスは、哲学者です。
哲学者というのは、なんでもゆっくりとことんまで考える人のことです。」おおかみのソクラテスは、3びきのこぶたを狙っています。
でもこぶたの家は5軒もあります。いったいどの家にいるのでしょう?
ここかもしれないし、あそこかもしれないし、…
ああたいへん、かえるのピタゴラスくんにも手伝ってもらいましょう。皆さんもぜひ、この知恵くらべにご参加を! ゆっくり読んで、考えてください。
あの有名な「3びきのこぶた」ではありません。ご注意を。
ふしぎなたね
これが美しい数学(7)で、このシリーズ最後の作品です。こんなふうに始ります。
むかし あるところに なまけものの男が住んでいました。そこへ仙人がでてきて、「ふしぎなタネをあげよう。そのタネを一個焼いて食べれば一年間は何も 食べなくても おなかが空くことはない。また、このタネを一個、地面にうめておくと来年の秋には、かならず実って 2個になる。」と言ってふしぎな種を2 個くれました。
怠け者の男は何年かたって、ふと、2個とも地面にうめたら、と考えました。次の年に2個のタネは4個にふえ、1個を食べて3個を埋めました。自然の摂理は順序正しく整然としています。人間の暮らしもその摂理に従っています。当たり前のことですが、その当たり前のことが、よく考えてみると、不思議ですね。
このシリーズで一番好きな絵本です。
長い人生、怠けてはいられなくなるタイミングは絶対くるし、頑張ってもうまく行かないときもあるよね。
(↑数学じゃなくてそこ?)
それでも、粛々と生活していかなければいけないのものなのです。うんうん。
以上、安野光雅さんが描く「美しい数学」シリーズの紹介でした。
お子さんの絵本選びの参考になれば嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました!